秋から冬にかけて、地元の大根の旬の時期になります。
この時期は大根と人参の塩漬を作ります。塩漬はとにかく十分な塩と、重石が大切です。
つい12~3年前位まで、②の図のように大根を漬けていたんです。塩蔵大根を作りますので1カ月程度漬け込みます。
普通の漬け方で、間違いではないんですが、どうしても最上段の大根が傷んだり、変色します。塩水もしっかりと上がっているんですが、最上段は空気に一番近いところなので、傷むみたいです。この傷んだ大根は商品になりません。悩みの種でした。
ある時NHKで東北地方の老舗のカブ漬メーカーの放送がありました。カブの漬け込み風景が放送され、6尺の木樽に赤カブをこれでもかという位の量を漬けていました。ここまでは、私が漬けていた光景と変わりありませんでした。
最後に、重石を載せる前に、最上段にカブの茎・葉っぱを敷き詰めて、塩を振っていました。このカブの茎・葉っぱは漬け込み前に切っておいて不要なのですが、かぶせ蓋用にとってあったんですね。
そして、漬け上がるまで数カ月寝かせ、カブを樽から取り出す光景で、なんと最上段のカブがきれいに漬かっていました。カブの茎・葉っぱは変色し、少々傷んでました。
最上段のカブが傷むと解っているから、茎・葉っぱ敷き詰めて、カブを保護していたんですね。戦前から伝わる代々受け継がれた方法だそうです。
すぐに、この方法で大根を漬け込みました。私の工場では大根・人参は皮をむいて漬け込んでいたので、皮が不要です。そこで、皮を樽の最上段に敷き詰めました。そして、1か月後、見事にきれいに漬け上がっていました。人参もこの方法できれいに漬け上がりました。
現在では、この漬け方が当たり前になっています。(図③参照)
あの時たまたまNHKの放送を見ていて本当によかったです。
先人の方の知恵と努力に改めて感謝・脱帽です!
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