― 大根を塩分と糖分でたくあん漬風に漬けます ―
このコーナーでは「しぼり大根漬」を紹介いたします。しぼり大根漬は大根の塩漬を液糖・砂糖などの浸透圧を利用して、干し大根漬のように漬ける大根漬です。
ちょい干し大根などの商品名で一時期は漬物コーナーを席捲しました。
多めの砂糖・水あめ等を使いますが、思ったよりも甘くなく、ポリポリした食感の大根漬です。
漬込みは下漬(塩漬)と本漬(味付け)の2工程で行います。
左図はしぼり大根漬の製造の流れです。
まず、塩漬してから、調味液で味付け・しぼり工程を行います。
しぼり工程で大根が良く漬かり歯ごたえが良くなります。
さらに、天地替えという工程で、大根の味付けを均一にします。
塩漬から完成まで約1週間かかりますが、意外と簡単に漬けることが出来ます。
ポイントは下漬け時にしっかりと大根に重石を効かせることです。
是非、お試しください!
大根 ------------------- 8本(約12Kg )
塩 ------------------- 約600g
(大根に対して約5%の塩)
塩水 --------------- 3L(水3Lに塩90g溶かす)
漬物用プラスチック製のタル(写真は50型)
(サイズが色々ありますのでお好みでご用意下さい)
重石(写真は15Kg型)
(タルに合わせてご用意下さい)
蓋(タルに合わせてご用意下さい)
きれいなビニール袋
※重石は大根に対し最低2倍程度のものを用意しまょう。
※皮付きのままで付ける場合は漬かりにくいので、竹串等で何か所か穴を開ければ漬かりやすくなります。
しぼり工程用の容器(後ほど使用します)
― ここでしっかりと塩漬します ―
大根・タルはよく洗っておきます。
塩を漬けやすいように今回は2つに分けます。
底用(3分の1=約200g)、上部(3分2=残りの塩約400g)に大体で結構ですので、あらかじめ分けておきます。
大根も大体でよいので、2つに分けておきましょう。
タルの底に軽く塩をふります。(写真①)
最初の2分の1の大根を隙間がないように並べて塩(底用200g)をふります。(写真②)
タルの脇に大根がそのままでは入らないので、大根を半分に切って、タルにぎゅうぎゅう詰めにして下さい。
同じように上部に残り2分の1の大根を隙間がないように並べて塩(上部用400g)をふります。(写真③)
下部(写真②)の漬込みよりも必ず塩の量が多いように漬けます。
どうしても、振った塩が大根の隙間から下にこぼれようとします。なるべくタルを揺らさずに塩が落ちないようにして振って下さい。
下漬けを漬ける際は必ず塩の量は下の方は軽く、上の方は多くふります。
これは、重力の影響で塩分は下部に沈む性質があるため、下の方は軽く、上の方は多く塩を振ると結果的にタル全体の塩分が上下均一になります。
左図④は胡瓜の場合ですが参考にしてみて下さい。
重石の重さは最低でも大根の2倍程度必要です。
写真⑦は重石は15Kgと8.5Kgを1つずつ乗せています。
このまま冷暗所で2日程度漬け込みます。
途中塩水が上がってこない場合は足して下さい。
写真⑧は大根を塩漬してから2日後の状態です。塩水が上がっているのが分かります。
ここでは大根は少し硬いですが、この後「しぼり工程」を行います。
大根をタルから取り出して、きれいに水で洗い、水気を切ります。
塩漬大根の重量を量っておきます。
今回は約8.0Kgでした。(写真⑨)
― 塩漬大根を味入れします ―
上記の工程で作った大根の「塩漬」は漬かってはいますが、少々かたく、塩度のバラツキ(ムラ)もあります。
これからは、塩漬大根を「糖しぼり」という方法で味付けすると共に、水分を出して干し大根のように仕上げます。
まるで大根を絞ったように出来上がるので、糖しぼりというのかもしれませんね。
以下に味付け方法・レシピ等をご紹介します。
水あめ ------- 800g (塩漬の10%)
砂糖 ------- 600g (塩漬の7.5%)
味の素 ------- 80g (塩漬の1%)
みりん 風調味料 ------- 160cc (塩漬の2%)
白だし ------- 80cc (塩漬の1%)
りんご酢 ------- 480cc (塩漬の6%)
上記の材料をよく混ぜればしぼり大根調味液の完成です。
※しぼり大根のしぼり調味液は大根の塩漬の重量の比率で量ります。
写真⑩のように粘度がある調味液になります。
※味の素はお好みで、入れなくても構いません。
大根の塩漬を容器に隙間がないようにぎゅうぎゅう詰めにします。(写真⑪)
大根の塩漬を敷き詰めた容器に、先ほど作ったしぼり調味液を注ぎます。
粘度があるので、ヘラ等でこさぎながら残さず注ぎます。
(写真⑫)
写真⑬はしぼり調味液を入れた後の様子です。
この調味液は浸透圧(漬ける力)がとても高いので、調味液を注いだ直後から大根がどんどん漬かって、水分が出てきます。
よく漬かるように、容器にビニール袋・タル蓋をして、軽い重石を乗せて2日間漬けます。(写真⑭)
冬場は室内で漬けて結構ですが、春先~夏場は大根・調味液が傷みやすいので、冷蔵庫で漬ける方が良いでしょう。
さらにタル全体を覆うようにビニール袋をかぶせるなどして、ほこりが入らないようにして下さい。
― 完成までもう少しです! ―
今までのしぼり工程で大根を調味液で味付けをしました。
ここで、それなりに味は付いているのですが、容器上部と底部の大根はかなり味付けのムラがある状態です。
底部の大根はしわしわで、上部の大根はまだ固い状態です。
簡単に述べると、底部は漬かりすぎで上部は漬かりが足りない状態です。そこで、この漬込み状態の大根を上下逆さまにして、大根の漬込みのムラを均一にします。この工程を天地替えと呼びます。
天地替えをすることによって、漬かり具合・歯ごたえ・味を整えます。
2日経過した上記の大根(写真⑭)と同じ大きさの容器を別に用意します。(写真⑮)
左側の容器の大根の上部を、右側の容器の底にぎゅうぎゅうに敷き詰めます。
同様に、左側の容器の底部の大根を、右側の容器の上部にくるように敷き詰めます。
左側から右側の容器に移し替えながら、大根を上下逆さまになるようにします。
この工程を天地替えと言います。
左図はしぼり工程で大根の天地替えのイメージです。
左側の容器の大根①が右側の容器の底にきます。
同様に、左側の容器の大根③が右側の容器の上部にくるように漬け替えます。
写真⑱は天地替えが終わった後です。左側底部にあった大根が右側上部に移動しています。
左側の容器に残った調味液を右側の容器に移します。
(写真⑲)
大根がよくしぼれて、しわが入っているのが分かります。
これがしぼった状態です。
2日前のしぼり工程時よりも軽い重さでよいので(丼椀に水を入れる程度)、重石を乗せます。
さらにこの状態で2日置きます。
ビニール袋をかぶせるなどして、ほこりが入らないようにして下さい。
2日後のしぼり大根です。きれいに漬かっています。
漬かることで大根が小さくなりますので、隙間が出来て、液の量が増えます。
これで「しぼり大根漬」の完成です!
きれいに盛り付けましょう!
大根に切れ目を入れて大葉を挟んでも、大変美味しく召し上がれます。ゆず皮でアクセントをつけてもいいですね!
パリポリとしているけど、大根の柔らかさも残っている絶妙な歯ごたえと甘さです。
余った大根は、調味液と共にビニール袋等に入れれば、冷蔵庫でさらに1週間程度保存できます。