浅漬の塩漬の価格計算②

― 浅漬の塩漬単価について―


このコーナーでは浅漬の塩漬の計算等を少し専門的にご紹介します。

浅漬の塩漬の価格計算①で歩留まりの計算をご紹介しました。歩留まりが分かれば、浅漬商品の製造価格が分かります。

 

しかしながら、浅漬は新鮮な野菜を原料にします。野菜の相場価格は天候・季節により毎日変動します。従って、塩漬の価格も毎回変わります。また、塩漬の歩留まりもその時の気温・野菜の状態によって毎回ぶれます。

塩漬の価格が分かっていないと商品自体の原価が決まりません。そこで、私の独断的・主観的な考え方で大変おこがましいのですが、浅漬の塩漬価格(主に白菜)の計算方法をご紹介します。ここでは、今までの漬け込みデータを元に原料白菜の箱単価から塩漬価格を計算する方法をご紹介します。

原価計算などでは必要な作業なので、わかる範囲だけでも閲覧して頂ければ幸いです。

なお、私の今までの経験と現場でで必要とされてきた事をまとめた、あくまでも独断的・主観的な考え方ですのでご了承ください。


毎日の漬け込みのデータを取る

― 計算の基本です―

野菜の塩漬の歩留まりは季節・気温・野菜の状態によって毎回数値が違います。しかも毎回野菜の仕入れ価格も違います。

それでも塩漬の価格を計算しないと、商品自体の原価がわかりません。

私も、今日仕入れた野菜はいったいいくらの塩漬になるんだろう?と毎回頭を悩ませていました。そこで、悩んだ末の計算方法を下記にご紹介します。

ここでは、白菜の浅漬の塩漬価格計算をご説明いたします。比較的簡単な商品ですので、一度実際に作ってご自分で製造、計算をしてみましょう。実際に作業することで、理解が深まり、問題点なども発見できると思います。

下図は浅漬の漬込みの大まかな流れです。計算するに当たって、必要なデータがあります。必ずデータを記録しておきましょう。

まず、簡単な単一製品の場合について考えます。

漬物 浅漬 白菜漬 原価計算 作り方 漬物カフェ
①浅漬の製造工程の例です
浅漬 塩漬計算 原価計算 漬け方 作り方 漬物カフェ
②浅漬の塩漬計算の説明例です

上の①、②図は浅漬の塩漬の価格計算①でご説明した浅漬の漬け込み工程と塩漬(歩留まり)の計算方法です。

この計算工程をしやすいようにExcelで作った計算表の1例を下記に挙げます。

 

下図はある1日の白菜漬の漬け込みを記録したデータです。

工程は①塩漬工程、②小分け・計量工程、③単価計算に分かれています。

 

計算に当たって表内のの色のデータは必ず記録します。

浅漬の塩漬価格計算①のページで歩留まり・塩漬のキロ単価の計算方法をご紹介していますので、参考にして下さい。

 

入力するデータ、得られる計算値は次のとおりです。

 

①塩漬工程

白菜原料20ケース・1ケース単価1,750円・白菜成形後重量(汚れ・不要な部分を除去後)246.59Kg ・使用食塩12.33Kg

使用塩水(差し水用)60L

 

②小分け・計量工程

白菜製品出来高(4/14は332個、4/15は339個、いずれも200g)

 

①の入力後計算される値

成形後白菜単箱重量(ここでは12.33Kg )・総塩漬使用価格(ここでは35716.50円)  ➊

 

②の入力後計算される値

合計(ここでは721個)・キロ換算(ここでは144.20Kg )               ❷

 

➊、❷より得られる計算値

塩漬1キロ単価(ここでは247.69円)・歩留まり(ここでは58.48%)

 

白菜漬 塩漬 浅漬 漬け方 原価計算 漬物カフェ
③白菜塩漬の計算表の例です

月単位でデータを記録・計算する

― 月単位の塩漬の様子が分かります―

上記の記録を毎回漬け込み時に実行し、記録・計算します。大体月単位でまとめます。月単位でまとめた表が以下に示します。

白菜漬け 原価計算 データ 歩留まり 漬け方 漬物カフェ
④漬け込みデータの例です(3月分)

上図は3月分の漬け込みデータの例です。3月の白菜の漬け込みでは、1箱平均13.94Kg、白菜箱単価平均1475.0円、歩留まり平均56.34%、平均漬上がり単価209.57円出会ったことが分かります。

 

白菜重量はその時期の白菜の育成等に左右されますので、年間を通じて観察します。歩留まりは計算値が高いほど出来上がりの製品個数が多くなります。歩留まりが低いときは、重石の乗せすぎや・ロスの多過ぎ等が考えられます。

上記のデータを実際にグラフで示してみます。

白菜漬 歩留まり 原価計算 漬け方 塩漬 漬物カフェ
⑤赤枠のデータを使用します

グラフで使用するデータは左図⑤の赤枠で囲んだ部分です。

 

白菜価格が高い時は漬け上がり価格も高くなります。

 

白菜の箱単価で漬け上がり単価が上下することは容易に想像出来ますが、このデータを数式化して今後の原価計算に役立てていきます。

 

左図の赤枠内のデータをExcelのグラフ機能で散布図を作り、数式を求めます。

その図が以下のようになります。


白菜漬 浅漬 原価計算 漬け方 歩留まり 塩漬 漬物カフェ 散布図
⑥白菜漬3月分のデータのグラフです

⑥のグラフでY軸:漬上がりキロ単価、X軸:箱単価とします。グラフより数式は、

 

          漬上がりキロ単価  = 0.1013 × 箱単価 + 60.187

 

となります。Excelで得たこの数式は赤枠内のデータを最小二乗法により求めた式です。

この式より3月期間中は例えば白菜1箱が1,500円のときの漬上がりキロ単価は

 

          漬上がりキロ単価  = 0.1013 × 1500 + 60.187

 

                    = 212.137(円)

 

となります。

 

上式で、漬上がりキロ単価をF・箱単価をT・傾きをa・切片をbとすると、

 

          F(漬上がりキロ単価) = aT(箱単価)+b                   ■

 

となります。

 

この数式には、箱重量・歩留まりなどから得たデータが含まれていますので、白菜の箱単価を入力すればおおよその漬上がり単価が予想でき、原価計算・新商品の開発時の計算などに非常に便利です。

原価計算は基本的に毎月計算し、その月の経費・利益がどれだけあったかを確かめます。したがって、毎月の塩漬価格の計算は欠かせません。

 


年間を通して計算してみる

― 年間の原料の漬け込み推移と価格を見ます―

ここまでは、3月分だけのデータで計算しました。実際の現場では年間のデータを取り、そのデータを元に原価計算したり、今後の傾向・価格検討に利用します。

 

以下に2017年の白菜漬の漬け込みデータ例を示します。

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⑦漬け込みデータの例です(2017年分)

年単位でデータを計算する場合は、データが膨大になるために、毎月記録した漬け込みデータを月単位で平均したものを使用しています。

2017年は秋に台風が上陸し、その後も春先まで野菜が高騰しました。10~12月の白菜箱単価が高くなって、漬上がりキロ単価も高くなっていることが分かります。

箱重量と歩留まりについて考察します。箱重量平均は11.79Kgと白菜にしては軽い方です。(基本原菜は15Kg前後で整形カット後でもホールの場合12~13Kgです)白菜が高騰した年で、野菜が軽い内に出荷されたものと考えられます。

歩留まりが61.98%と非常に良いのですが、普通は塩漬を1~3日かけて計量・製品出荷します。塩漬の期間が長ければ、それだけ漬かるので歩留まりも下がります。2017年は野菜高騰の年でしたので、製品がよく売れました。

従って、原菜を漬けて、塩漬を翌日すぐ製品出荷の状態でしたので塩漬の期間が長くならず、結果歩留まりが良くなりました。

以下に2017年の白菜漬の漬け込みデータのグラフ例を示します。

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⑧白菜漬2017年分のデータのグラフです

⑥のグラフでY軸:漬上がりキロ単価、X軸:箱単価とします。グラフより数式は、

 

          漬上がりキロ単価  = 0.1509 × 箱単価 ー 18.506

 

となります。Excelで得たこの数式は赤枠内のデータを最小二乗法により求めた式です。

この式より例えば白菜1箱が年平均1,600円のときの漬上がりキロ単価は

 

          漬上がりキロ単価  = 0.1509 × 1600 ー 18.506

 

                    = 222.934(円)

 

となります。

以上から、漬け込み時にしっかりとデータを記録すれば、原料の箱単価を入力するだけで漬け上がり単価が容易に算出できることが分かります。

 

この計算はいつの時期の漬け込みデータを使うかによって計算結果が変わるので注意します。1年間のデータで計算するのか・四半期のデータで計算するのかはその時の必要性によって選択すればよいと思います。

 

次のコーナーでは、この計算方法を用いて浅漬製品の原価計算をご紹介します。


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