浅漬の塩漬の価格計算①

― 浅漬の塩漬の歩留まりについて―


このコーナーでは浅漬の塩漬の計算等を少し専門的にご紹介します。

野菜は漬ければ漬けるほど、調味液の浸透圧等によりその重量が減ります。この漬け上がりの度合いを歩留まりと呼びます。

漬物製造では塩漬の歩留まりがどれ位かを知ることがとても重要になります。塩漬の歩留りを知ることで、商品の原価が分かってきます。

また、新商品を考える際に、塩漬の価格が分かっていないと商品自体の原価が決まりません。

少々難しい箇所もあるかも知れませんが、原価計算などは必要な作業なので、わかる範囲だけでも閲覧して頂ければ幸いです。

なお、私の今までの経験と現場でで必要とされてきた事をまとめた、あくまでも主観的な考え方ですのでご了承ください。

 



下漬け(塩漬)の計量について➊

― 単一製品の場合―

ここでは、白菜の浅漬の塩漬の原価計算をご説明いたします。比較的簡単な商品ですので、一度実際に作ってご自分で製造、計算をしてみましょう。実際に作業することで、理解が深まり、問題点なども発見できると思います。

下図は浅漬の漬込みの大まかな流れです。計算するに当たって、必要なデータがあります。必ずデータを記録しておきましょう。

まず、簡単な単一製品の場合について考えます。

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①浅漬の簡単な製造工程です。(単一商品のとき)

ここでは、塩漬の価格について考えますので、右の表でデータ①、②、③、⑥を使用します。

データ例を以下のようにします。

 

①白菜原料(実計量)          15.0Kg

 

②白菜塩漬(実計量)            9.0Kg

 

③塩漬小分け計量1個当たり          250g

 

⑥製品完成個数                            34個

 

①と②から白菜の塩漬の歩留まりは

 

 9.0 ÷ 15.0 × 100= 60.0(%)

 

と計算できます。

 

 

 

 


ここで、塩漬を実計量しました。現実的には白菜原料300Kgを漬けることもあります。

その時の塩漬が歩留まり60%としても180Kgあります。

 

実際に塩漬を量るのも良いのですが、あまり重いと計量が困難になります。

また、塩漬は水分が多い為、計量中や計量後の小分け計量する際中もどんどん水分が流れていきます。しかも自重でさらに水分が出ていき軽くなります。また、小分け・計量する際も不要な葉の部分などがでて、ロスになります。

 

従って塩漬は計算上180Kgでしたが、さらに減ります。「最終的に何キロになるのか?」ここが漬物業者を悩ませるところです。

そこで、次のように完成個数と小分けした重量から塩漬重量を求めることを考えます。

 

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②浅漬の簡単な計算工程です。(単一商品のとき)
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③白菜のイメージ写真です

上記の漬け込みの場合で計算します。

 

③塩漬小分け計量1個当たり          250g

 

⑥白菜完成個数           34個

 

でしたので、元の塩漬の重量は

 

  0.25 × 34 = 8.5 (Kg)

 

となります。上記では実計量塩漬が9.0Kgでした。

従って、

 

  9.0 - 8.5 = 0.5 (Kg)

 

の差が生じます。この差が塩漬を袋等に小分け・計量する際のロス等になります。

 

従って、この白菜漬け込みの場合、塩漬重量は 8.5Kg がロス等を考慮していますので、信頼できる重量と考えられます。

 

この時のロス等を考慮した歩留まりは

 

 8.5 ÷ 15.0 × 100= 56.7(%) ★

 

となります。

 

実際の白菜で計算します。

 

左の写真のように白菜箱単価@2,000 とします。

重量が15Kg とします。

上記の漬け込みデータで漬かったとします。

塩漬に使用した塩が1.0Kg(@50円)とします。

 


これらの価格から、求めたい白菜の塩漬価格は

 

          (2,000 + 50 ) ÷ 8.5 = 241.17

 

塩漬価格は1キロ当たり  241.17 円 となります。

 

なお、この価格は材料費のみの計算です。

ロス等を考慮した★の歩留まり計算は後の原価計算で重要ですので、必ず毎回計算します。


下漬け(塩漬)の計量について❷

― 複数製品の場合―

先ほどは、白菜の塩漬から1種類のみを製造する場合の塩漬の計量・価格計算について説明しました。

ここでは、白菜の塩漬から複数製造する場合の簡単な塩漬の計量・価格計算について考えます。下記のような漬け込み形態で、製造品が商品A・商品Bの2種類あるとします。

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④浅漬の簡単な製造工程です。(複数商品のとき)

ここでは、塩漬の価格について考えますので、右の表でデータ①、②、③、⑥を使用します。

データ例を以下のようにします。

 

            ①白菜原料(実計量)            30.5Kg

 

            ②白菜塩漬(実計量)            17.7Kg

 

            ③商品A計量                  250g                        商品B計量                   180g

 

 

            ⑥製品完成個数                             34個                       製品完成個数                              46個

 

単一製品の場合と同様に、計算します。

まず、実計量から白菜の塩漬の歩留まりは、

 

          17.7  ÷ 30.5    ×  100  =   58.0(%)

 

となります。

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④浅漬の簡単な計算工程です。(複数商品のとき)

商品Aから白菜の塩漬を計算します。

 

③商品A計量         250g 、  ⑥製品A完成個数          34個

 

でしたので、商品Aの塩漬の重量は

 

          0.25  ×   34.0    =    8.5(Kg)

 

となります。一方、商品Bの塩漬の重量は

 

 

商品B計量         180g 、  製品B完成個数         46個

 

ですので、商品Bの塩漬の重量は

 

          0.18  ×   46.0    =    8.28(Kg)

 

となります。よって、この白菜の塩漬重量は

 

          8.50  +   8.28    =     16.78(Kg)

 

と計算出来ました。ロス等を考慮した歩留まりは

 

          16.78  ÷   30.5    =     55.0(%)      ★

 

となります。

では、塩漬価格を計算します。

今回は白菜原料が2ケースで箱単価@1,850とします。塩漬に使用した塩が2.5Kg(@50円)とします。

 

これらの価格から、求めたい白菜の塩漬価格は

 

          ( (1,850 × 2) +  (50 × 2.5) )  ÷   16.78   

  

      =   3,950    ÷   16.78   =   235.399 

 

となり、塩漬価格は1キロ当たり  235.40 円 となります。

なお、この価格は材料費のみの計算です。

ここでも、ロス等を考慮した★の歩留まり計算は後の原価計算で重要ですので、必ず毎回計算します。


このように、完成個数からさかのぼって、求めたい数値を計算する方法を逆計算方と呼ぶらしいです。

上記も場合は1、又は2種類の商品で計算しましたが、種類が増えても同様の方法で計算できます。また、この計算方法が後々役に立ちます。

白菜に限らず、胡瓜・大根等の浅漬でも計算できます。

 

ただし、漬ける量が少量で実計量できる時はわざわざこのような計算をしなくても良いと思います。

 

ミックスの浅漬(例えば白菜と胡瓜)の塩漬価格の計算は別のコーナーで後述しようと思います。

以上の計算方法を元に、次のコーナーではExcelを用いた浅漬の塩漬価格計算をご紹介します。


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