― 比較的簡単な塩漬です ―
本格的な漬物を作るための準備として、実際に保存を目的とした野菜の「塩漬」の作り方をご説明いたします。
「塩漬」は色々な野菜でできますが、比較的簡単な「胡瓜の塩漬」を実践してみましょう。
「塩漬」は1次漬(下漬)と2次漬(本漬)の2工程の作業を要します。
胡瓜の塩漬はしば漬、しょう油漬、みそ漬等様々な漬物に応用できます。
左図は胡瓜の塩漬の漬込み工程です。
浅漬(低塩・すぐ食べたい場合)で塩漬けする場合は、必ず冷蔵庫で漬けましょう!
胡瓜 ------------------- 30本(約4Kg)
塩① ------------------- 約800g
(胡瓜に対して約20%の塩)
塩② ------------------- 下漬した胡瓜の重量に
対して約15%の塩
塩水① ------- 500ml(水500mlに塩50g溶かす)
塩水② ------- 500ml(水500mlに塩100g溶かす)
漬物用プラスチック製のタル(写真は15型)
(サイズが色々ありますのでお好みでご用意下さい)
重石(写真は8.5Kg型)(タルに合わせてご用意下さい)
蓋(タルに合わせてご用意下さい)
きれいなビニール袋
※重石は胡瓜に対して最低1.5倍程度のものを用意しましょう。
※塩①は400~600g(10%~15%)で良いとする方もいらっしゃいますが、失敗しないために敢えて濃い塩で表記しています。
※塩②、塩水②は後で使いますので、すぐに用意する必要はありません。
胡瓜を漬け込みます!
― 塩加減が重要です ―
まずは下漬けをします。
生の胡瓜をよく水で洗って水気を切ります。特に露地物などは土がついている場合があるので、よく洗いましょう。
塩①を漬けやすいように3つに分けます。
底用(6分の1=約130g)、中部用(6分の2=約260g)、上部(6分の3=残りの塩半分)に大体で結構ですので、あらかじめ分けておきます。
原料の胡瓜も大体でよいので、3つに分けておきましょう。
タルの底に軽く塩をふります。(写真①)
最初の3分の1の胡瓜を隙間がないように並べて塩(底用130g)をふります。(写真②)
同じように中部に3分の1の胡瓜を隙間がないように並べて塩(中部用260g)をふります。(写真③)
下部(写真②)の漬込みよりも必ず塩の量が多いように漬けます。
残りの胡瓜を隙間がないように並べて塩(上部用400g)をふります。
写真②、写真③に比べるとびっくりするくらい塩の量が違いますがこれで大丈夫です。
野菜の塩蔵のときの塩の目安は下部が少々、中部はもう少し多く、そして残り上部は雪景色になるくらいに塩をふります。
塩蔵野菜を作る際は必ず塩の量は下の方は軽く、上の方は多くふります。
これは、重力の影響で塩分は下部に沈む性質があるためです。
下の方は軽く、上の方は多く塩を振ると結果的にタル全体の塩分が上下均一になります。
左図⑤を参考にしてみて下さい。
ビニールと蓋をして重石を乗せます。重石の重さは最低でも胡瓜の 1.5倍程度必要です。
蓋とタルのすきまから塩水①を少しずつ入れます。(写真⑥)
このまま冷暗所で1週間程度漬け込みます。
途中塩水が上がってこない場合は足して下さい。
写真⑦は漬けてから2日目の状態です。塩水が上がっているのがわかります。(写真撮影の為に、重石はずしています。)
漬け込み期間中はタルの蓋が十分に塩水の水面よりも下に沈むように、塩水の量を管理しましょう。蓋にギリギリの塩水ですと、漬け込んでいる胡瓜の上部が傷む可能性があります。
写真⑧-1は漬けてから1週間位の状態です。
まだ、きれいな緑色が残っています。
もしこの時点で、漬け上がりの上部の胡瓜が傷んでいる場合は捨てて下さい。
写真⑧-2は7月の暑い時期に漬けた胡瓜の塩漬の1週間後の状態です。胡瓜の緑色の退色が見られますが、胡瓜の塩漬の状態に問題はありません。
この1次漬(下漬)の時点からでも、いろいろな胡瓜の漬物を作る事が出来ます。
早く漬けて、お召し上がりになりたい方は、ここからいろいろな種類の胡瓜漬を漬けましょう。
ちなみに、写真⑧の胡瓜の1次漬をよく洗って、水で塩抜きすればあっさり胡瓜の塩漬が出来ます。
― この工程で保存が効きます ―
下漬で漬けた胡瓜の塩漬をタルから取り出します。(写真⑨)
下漬した胡瓜の重量を量ります。今回は3Kgでした。
下漬した胡瓜の15%の塩を量ります。今回は450gでした。
(塩②になります)
タルをきれいに洗います。
1次漬と同じ要領で塩②で下漬の胡瓜に再び塩を振ります。
この時も塩は必ず塩の量は下の方は軽く、上の方は多くふります。(写真⑩、⑪)
塩の加減が難しい場合は1次漬と同じようにして、胡瓜(3等分)と塩を3回に(6分の1、6分の2、6分の3)に分けると良いでしょう。
ビニールと蓋をして重石を乗せます。
2次漬の時の重石は胡瓜と同じ重量位で結構です。
塩水②を蓋とタルのすきまから少しずつ入れます。
全部入れなくても、フタのところまで被ればOKです。
(写真⑫)
1カ月程度すれば、「胡瓜の塩漬」の完成です。
常温でも保存出来ますがなるべくタルの中に空気が入らないようにビニール等をかぶせて下さい。
空気が少しでもあると産膜酵母(白カビ)がまた発生する場合があります。(洗えば大丈夫です)
なるべく冷暗所で保存しましょう。(写真⑬)
漬け替えて1か月後の胡瓜の塩漬です。(写真⑭)
ほんのりと緑色があせだしています。
― 仕上げです ―
上記の漬け替えで十分に日持ちする胡瓜の「塩漬」が出来ました。
ただ、タルの中に空気がどうしてもあるので、暑い夏場などは必ず表面に産膜酵母(白カビ)が発生します。
せっかく手間暇かけて作った「塩漬」ですので、きれいに保存出来るようにしましょう。
方法は簡単です。漬け替えて1か月程した胡瓜の「塩漬」をタルから取り出します。
この時上部の胡瓜が傷んでいた場合はその部分のみ取り除きます。
タルにビニールをして取り出した胡瓜の2次漬を入れます。
この時、胡瓜が産膜酵母(白カビ)等で汚れていたら、よく洗ってから入れて下さい。
また改めて新しい塩水②を作り、ひたひたになるまでタルに注ぎます。(写真⑮)今回は1500ml使いました。
ビニール袋等に入れ、塩水が漏れないように口をしっかりと結びます。ポイントは空気を袋の中に入れないことです。
(写真⑯)
これできれいに保存できる胡瓜の「塩漬」の完成です。
写真⑰-1は漬けてから1か月後の状態です。
胡瓜のきれいな緑色が退色して、さめた緑色なればよく漬かった塩漬の完成です。
写真⑰-2は暑い7月の時期の漬けてから1か月後の状態です。
漬ける時期によって胡瓜の色が変わる期間が変わります。
見た目よりも、胡瓜の塩漬を指で強めに押してみて、ずぶずぶとつぶれなければ、よく使ったサインです。
指で強めに押してずぶずぶとつぶれる場合は、塩加減が少ないか、重石の量が足りないことが原因です。
もったいないですが、新たに漬け直しましょう。
状態が良ければ1年程度常温での保存ができます。
漬込み中は左図のように白い膜(産膜酵母又は白カビといいます)が発生しますが、後で洗えば問題ありませんが、なるべく
発生させないようにします。
産膜酵母(白カビ)は空気を好みますので、タルの上部にビニール袋をかけるなどして、空気の侵入を防ぐことが大切です。
夏場に塩漬したときは、結構出てきます。
産膜酵母(白カビ)がひどく繁殖したときは、表面のカビ等を網などですくって下さい。
もしくは、塩水②を新たに作って漬け直します。