― 応用が効く漬物です ―
本格的な漬物を作るための準備として、実際に保存を目的とした野菜の「塩漬」の作り方をご説明いたします。
「塩漬」は色々な野菜でできますが、ここでは比較的簡単な「瓜の塩漬」を実践してみましょう。
「塩漬」は1次漬(下漬)と2次漬(本漬)の2工程の作業を要します。
瓜の塩漬は奈良漬、しょう油漬、みそ漬等様々な漬物に応用できます。
左図は瓜の塩漬の漬込み工程です。
瓜を用意します。写真は長崎産の青瓜です(写真①)
瓜の品種は各地方で色々あります。
水洗いして、土汚れ等をきれいに洗い流します。
瓜を包丁で半割にします。(写真②)
スプーンで瓜のワタと種をきれいに取り除きます。(写真②)
生瓜 ----------------- 8Kg(わた・種除去済)
塩① ------------------- 1.2Kg
(生瓜に対して約15%の塩)
塩② -------------------- 下漬けした瓜の重量に
対して」役15%の塩
塩水 ---------------- 3L(水3Lに塩600g溶かす)
漬物用プラスチック製のタル(写真は15型)
(サイズが色々ありますのでお好みでご用意下さい)
重石(写真は8.5型と5.5型)(タルに合わせてご用意下さい)
蓋(タルに合わせてご用意下さい)
きれいなビニール袋
※重石は梅に対して最低1.5~2倍程度のものを用意します。
※塩②、塩水は後で使いますので、すぐに用意する必要はありません。
― 塩加減が重要です ―
まずは下漬けをします。漬け方は胡瓜の塩漬と同様です。
塩①を漬けやすいように3つに分けます。
底用(6分の1=約200g)、中部用(6分の2=約400g)、
上部用(6分の3=残りの塩半分)に大体で結構ですので、あらかじめ分けておきます。
原料の瓜も大体でよいので、3つに分けておきましょう。
タルの底に軽く塩をふります。(写真⑤)
瓜の塩漬けの仕方は、瓜を裏返して、分量の塩を瓜のくぼみに塗るようしてまぶしつけます。(写真⑥)
この方法で、漬け込んでいきます。
最初の3分の1の瓜に塩をまぶしてを隙間がないように並べます。(写真⑦)
同じように中部に3分の1の塩(400g)を瓜を隙間がないように並べます。(写真⑧)
下部(写真⑦)の漬込みよりも必ず塩の量が多いように漬けます。
残りの塩を瓜にまぶしてを隙間がないように並べます。
写真⑦、写真⑧に比べるとびっくりするくらい塩の量が違いますがこれで大丈夫です。
野菜の塩蔵のときの塩の目安は下部が少々、中部はもう少し多く、そして残り上部は雪景色になるくらいに塩をふります。
塩蔵野菜を作る際は必ず塩の量は下の方は軽く、上の方は多くふります。
これは、重力の影響で塩分は下部に沈む性質があるため、下の方は軽く、上の方は多く塩を振ると結果的にタル全体の塩分が上下均一になります。
左図⑩を参考にしてみて下さい。
ビニールと蓋をして重石を乗せます。
重石の重さは最低でも瓜の重さの1.5~2倍程度必要です。
(写真⑪)
写真⑫は瓜を漬けてから5日目の状態です。
塩水が上がっているのがわかります。
このまま冷暗所で1週間ほど漬込みます。
瓜は水分を豊富に含んでいる為、差し水をしなくても塩水が上がってきます。
写真⑬は重石を外した瓜を漬けてから5日目の状態です。
塩水が上がっているのがわかります。
これで瓜の下漬け(1次漬)の完成です。
この1次漬(下漬)の時点からでも、いろいろな瓜の漬物を作る事が出来ます。
早く漬けて、お召し上がりになりたい方は、ここからいろいろな種類の瓜漬を漬けましょう。
ちなみに、写真⑬の瓜の1次漬をよく洗って、水で塩抜きすればあっさり瓜の塩漬が出来ます。
― この工程で保存が効きます ―
下漬けした瓜の重量を量ります。今回は5.0Kgでした。
下漬けした瓜の15%の 塩を量ります。今回は750gでした。
(塩②になります。)
ビニール袋・フタ・重石を用意します。
今回重石は8.5号でした。
タルをきれいに洗い、軽く塩を振ります。(写真⑮)
1次漬と同じ要領で瓜の下漬けの塩を塗るようにまぶします。(写真⑮)
1次漬と同じ要領で瓜の下漬けの塩を塗るようにまぶします。(写真⑮)
この時も塩は必ず塩の量は下の方は軽く、上の方は多くふります。(写真⑰)
塩の加減が難しい場合は1次漬と同じようにして、瓜(3等分)と塩②を3回に(6分の1、6分の2、6分の3)に分けると良いでしょう。
ビニール袋・フタをして重石を乗せます。(写真⑱)
約1ヵ月程度漬け込めば「瓜の塩漬け」の完成です。
常温でも保存出来ますが、タルの中に汚れ等が入らないように、さらにビニール袋等覆って下さい。
写真⑲は1ヵ月後の瓜の塩漬けです。緑色が若干退色しているのが分かります。
さらにきれいに保存したい方へ
― 仕上げです ―
上記の漬け替えで十分に日持ちする瓜の「塩漬」が出来ました。
ただ、タルの中に空気がどうしてもあるので、暑い夏場などは必ず表面に産膜酵母(白カビ)が発生します。
せっかく手間暇かけて作った「塩漬」ですので、きれいに保存出来るようにしましょう。
方法は簡単です。漬け替えて1か月程した瓜の「塩漬」をタルから取り出します。この時上部の瓜が傷んでいた場合はその部分のみ取り除きます。
写真⑲は1ヵ月後の瓜の塩漬けです。緑色が退色しているのが分かります。
タルにビニールをして取り出した瓜の2次漬を入れます。
この時、瓜が産膜酵母(白カビ)等で汚れていたら、よく洗ってから入れて下さい。
塩水を作り、ひたひたになるまでタルに注ぎます。(写真⑳)今回は3Lの塩水を使いました。
ビニール袋等に入れ、塩水が漏れないように口をしっかりと結びます。ポイントは空気を袋の中に入れないことです。
(写真㉑)
これできれいに保存できる瓜の「塩漬」の完成です。